書籍紹介

輝(ひかる)-いのちの言葉ー

著者:臼田 輝
企画・編集:「輝」編集委員会
発行者:臼田則男

 『輝(ひかる)—いのちの言葉—』を出版してから今年(2023年)で11年目を迎えました。
 この間、4000冊余の頒布注文をいただき、お手元に届けることができました。
現在在庫はなく頒布活動を終了しましたが、この度、電子版による『輝—いのちの言葉—』を掲載していただき、ご覧いただけるようになりました。
 この電子版は無料で閲覧していただけます。但し、まことに申し訳ありませんがプリントアウトおよびコピーなどについては、制限をさせていただいておりますことをご了承ください。

 輝君は、愛育養護学校に入学されたときすでに生活上あらゆることに介助が必要な身体状況にあり、言葉によるコミュニケーションは困難な状態でした。しかし、人としての交流があるものとして学校生活を過ごし、どうすれば輝君の生活を豊かにできるのか、どうすれば輝君と気持ちを通わせることができるのか、問い続け小学校時代をともに過ごし、日常生活の中で「言葉」を感じる瞬間を持ちながら本校を卒業されました。
 その後、都立特別支援学校中学部に進学された輝君は、自主学習会に出会って「自分の言葉を表現できる可能性」が次第に開けていきました。
 そして、輝君は『自分と同じような状況にある子ども達の心の声を、文字という形で表現できる可能性があることを、広く世の中の人達に知ってもらいたい』というメッセージも込めて、自らの願いを書き始めました。
 しかし文字表現に出会い、わずか2年7か月後、輝君は16歳で亡くなりました。
 本書は、輝君がこのメッセージの実現に向けて、いつか自分の作った文章を本にして出版したいという願いを持ちはじめ、表現した15編のささやかな文章と、輝君の身近な人たちから寄せられた追悼文を集めて作ったものです。
 輝君の願いは、今なお切実です。多くの人に輝君の抱いた思いが届くこと、表現する可能性に出会えずに生きている人にこそ、心に抱いた思いは強くあることを伝えたいということです。
 そして、人の思いに耳を傾け寄り添う努力は、いつでもどこでも、いつまでも失わないでほしいことを私たちは願っています。