アトリエあいいく 卒業制作

アトリエあいいく卒業制作 アートティーチャーコメント
愛育では毎年、卒業間近の六年生一人ひとりがアクリル絵の具を使い、卒業記念として作品を制作しています。ここでは2005年度卒業生のいきいきとした作品を紹介します。
Rくん
200603_4
Rくんは芸術家です。平面絵画の二次元の世界が三次元にも四次元にも変化してゆくことを感覚的に知っています。ですから、アートティーチャーの安直な工作やお絵描きの提案にはのりません。が、真新しいアクリル絵の具のセットを初めて開けた時、とても嬉しそうでした。専門家も使う、リキテックスのパステルカラーセットに心動かされたのでしょう。色を確かめるように描いたこの作品を皮切りに、その後大胆な作風のものを何枚も制作しました。
H.Uくん
200603_2
H.Uくんが描く時には誰かが手を支えて動かし、描くお手伝いをしなければなりません。その時、彼の思いに忠実でありたいと思いますが、「つぎはどうする?」と顔色を伺われながら制作を進めることは好みません。自分の手元から出来上がってゆく作品を、中断することなく体験することの方を心地よく感じるのかもしれません。そんな彼の卒業制作は、音楽を聴きながら描きました。音楽のアートティーチャーの飯塚さんのピアノと絡み合うように、美しい色をキャンバスに伸ばしました。音楽を聴くように、色を感じてもらえたかな、と思います。
Mさん
200603_3jpg
実はMさんには2枚の卒業制作があります。1枚目は描いても描いてもうまくゆかず、何度も消して、いらついて、最後に緻密に描く事をやめて、大きく手形をつけて出来上がりとなりました。描く事によってすっきりとした気持ちになったようで、作品としてもすばらしいと思ったのですが、担任からもう1枚描いてというリクエストが出ました。猫が大好きで、愛育で猫とたっぷり遊びました。描きたい思いと少しでも違っていると消してしまうMさんですが、愛育を卒業する記念に、猫の絵を描いてほしいという担任の期待に応えて見事に描ききってくれました。 
H.Sくん
200603_1
絵の具は大好きなH.Sくんですが、絵筆をもって描いたり、描こうと誘われることは大嫌いです。そんな彼に、小細工はききません。率直に、「この絵の具はね、卒業制作のための特別なものなの、卒業制作を描いてくれる?」とお願いしました。そうすると、なんと!キャンバスの前にしばし座って、絵筆もって、絵の具を選び、真剣に制作に向かいました。ひとしきり描くと「できた」と終わりになり、絵筆を流しに持ってゆきました。どうどうとした作品です。
Sさん
200603_5
他の子どもたちが卒業制作を描いていたら、Sさんも描きたくなりました。選んだのは美しいピンク色。一面の花畑のように画用紙に描き、傍らに自分の姿を描きました。最後には名前を描いて、出来上がり!温かい作品に仕上がりました。こんなにも完成度の高い作品を描くのはめずらしいことで、愛育でやり残すことなく自分を発揮し、次へと歩んでゆくSさんの成長が感じられます。